2014年6月18日、フランス、ブルターニュ地方、サンマロの市庁舎、水彩

<日記から>サンマロは周囲を海と高い石壁で囲んだ旧い城塞都市。インフラの多くは城塞の中にあるが、バスターミナルは正門から出た塀の外にある。朝、近くの港町ディナンに日帰りで出掛けようとこのバスターミナルへ行ってみると、1時間半ほど待たないとディナン行きは無いと解り、時間つぶしに付近を散歩することにした。すると突然、この絵の風景が眼前に!ディナン見物のことはもうどうでもよくなり、急遽スケッチブックを開いた。午前9時から午後3時まで6時間、昼食抜き。腰を下ろしたところがちょうど横断歩道の片隅だったので、信号待ちの観光客大勢に取り囲まれつつ絵筆を走らせるが、彼らとのひっきりなしの会話もまた楽しく、その運びは遅々として進まない。するとやおら車道の路肩に1台のアウディが急停車し、レイバンのサングラスをかけた中年男がつかつかとやってきた。「出来上がったら売ってくれ」と云う。「日本に帰ったら個展を開くからダメだ」と答えると、肩をすくめて戻って行った。ちなみにこの日、私の作業をじっと眺めていたドイツ人のおじいさんとは、翌日レンヌまでの列車で一緒になり、ずっとおしゃべりしながら旅情を慰めさせていただいた。このブレーメンに住むというクリストフさん曰く、日本についてはナガサキ、ヒロシマを知っている、と。アメリカは嫌いだ、と。これが枢軸国ドイツ戦中派のいち典型ではあるのだろう。